地元広報誌「うえまち」コラム連載中!もし、我が子が不登校になったら?

第58回

相談事例(31)「不登校で留年が決まってしまって!」

 中学校で不登校を経験した満君(仮名・高2)は、全日制高校に進学し高1では遅刻とかもありながらなんとか登校し、規定の単位を取得して高2に進級しました。しかし、進級後の6月頃から体調を壊したことがきっかけとなり,また不登校の状態に陥ってしまいました。学校側から「このままでは留年になる」という通知や指導を受けてまた登校し始めたのですが、欠席と遅刻が重なりついに11月に留年が確定してしまいました。満君は学校側から留年して再び高2生として頑張るのか、それとも通信制高校などへ転校するのか結論を迫られおり日々考え込んでしまう毎日です。

 この場合満君には次の選択肢があります。まず、(A)留年して高2をやり直す決意で現在籍校で頑張り続ける。次に、(B)現在籍校で高2の最後まで少しでも単位取得をして、4月に通信制へ転校する。さらに、年度末が迫ってはいますが、(C)現時点で通信制へ高2生として転校する。の三つです。(A)ならば卒業は一年遅れますが、(B)(C)ならば、同級生と同じ時期に卒業できることになります。

 お母さんは登校するたびに疲れ切った表情を見てきたこともあり、さらには卒業が遅れることはさけたいと通信制高でやり直して欲しいと望んでいまが、満君は友達関係もあり、また通信制高での新たな生活への不安もあり、できればもう一度現在籍校で高2をやり直したいという思いを思っています。お母さんは、本人の意向を受け止めたいのですが、留年して再び高2に挑戦しても、また同じ結果になるのではという思いがあり、転校を勧め続けています。

 (A)の選択は満君にとって厳しい生活が待っているかもしれません。プライドもあるでしょうから、転校は全日制高を卒業できなかったという失敗を認めることになると感じ、転校への抵抗感は消せないのでしょう。一方、もう失敗してほしくないと思うお母さんが転校を勧めるのも無理もありません。しかし、ここは本人の意思を尊重しましょう。転校を促すことは「失敗を認めなさい」とプレッシャーをかけていることになります。本人の意向を受け入れ、再高2でふたたびつまずいたとしても、その時こそ転校を相談することにし、満君のこれからの生活でお母さんが何ができるのか、どう応援すればいいのか、本人の希望を聞きながら4月を迎えてほしいと思います。  

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