地元広報誌「うえまち」コラム連載中!もし、我が子が不登校になったら?

第44回

不登校と発達障害④ 「ADHDのわが子へ」

 いじめやからかいを日常的に受けストレスを抱え続けてついには不登校にという事例はたくさんあります。落ち着きがない、忘れっぽい、衝動性が抑えられないなどと言った行動が目立つために、いじめやからかいの対象になりやすくなっています。親御さんはやはりわが子に責任があると思い厳しく指導しようとしますが、目に見えた改善が見受けられないと悲観的になってしまうようです。友達との関係がうまくつくれないことから、以前にもこの連載で触れたアスペルガーという発達障害ではないかと考えてしまいがちですが、実はADHDも友達関係の問題に深く関係しています。

 ADHDとは注意欠陥多動性障害の疑いがあり、不注意、多動性、衝動性などの生活上の困難が見受けられます。セルフコントロール(自己抑制)がうまくできない障害とも言えます。具体的には、忘れ物が多く友達との約束を忘れやすい、体の一部をいつも動かしていたりおしゃべりが止まらないなど落ち着きがない、与えられた課題が最後までやり遂げられず、また人の話を最後まで聞けないなどの集中力が続かないといった言動です。また、自分の意見が通らなかったときなど大声を上げたり泣いたりするいわゆるかんしゃくを起こしてしまうなどもその特徴です。

 これらの不適応な言動は周りの生徒と有効な関係を築いていく上で、大きな障害となってしまい、やがていじめやからかいの対象となり、自分が周りから受け入れられていない現実に大きなストレスを抱え始めます。しかし、事態がそうたやすく好転しないのは、ADHDの生徒たちが意図的に言動を繰り返しているわけではないからです。

 必要なことは日常的なサポートです。厳しくしつけようとすることや叱責はタブーです。症状が顕著な場合は、コンサータなどの投薬療法も考えなくてはなりませんが、これは当面の日常生活での困りごとを解消するのに有効なだけですので、不適応な行動に対するサポートは日々重ねる必要があります。成果が見られるまでに時間はかかりますが、親御さんや先生に必要なのは根気と覚悟です。次回は、その行動療法を紹介します。  

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