地元広報誌「うえまち」コラム連載中!もし、我が子が不登校になったら?

第42回

相談事例⑳ 「不登校、でも全日制高希望のわが子」

 不登校に係る学校相談会が開催され、高校進学を控えた中三生(不登校)の保護者が通信制高校のブースで相談されています。親御さんは不登校からなかなか抜け出せないわが子の高校進学先として、中学校の進路指導の勧めもあって通信制高校が良かれと判断されているのでしょう。毎日自宅で過ごしているわが子を前にして、全日制高校では多分また不登校になってしまうだろうと思われてのことでしょう。週1~2日の登校で高校が卒業できるとするなら、それくらいなら通ってくれるのではないかと思われるのも無理はありません。また、少しでも通ってくれるようになってくれればと期待されるのも当然でしょう。

 しかし、親御さんの想いとは裏腹に中三生(不登校)本人は、ほとんどこの時期の進路希望調査に「全日制」と答えているのが現実です。出席日数が全く足りず、また定期テストも受けていなければ内申点は厳しいものになることも本人は承知していても、それでもなお全日制高希望と主張します。なぜなら、中学校での不登校をひとつの失敗と思っている故に、全日制高に進学してその失敗を取り戻したいと願っているからです。つまり通信制高の選択は、その失敗を認めたことにほかならず、あくまで全日制高に元気に通う同級生らと同じ状況になることこそが、不登校という失敗からの脱却と思っているのです。

 全日制高進学を願うわが子に、いきなり親御さんの心配などをぶつけて、通信制高の選択を迫ってはいけません。通信制高のパンフレットなどを目に付くところに置いておくこともタブーです。まず、中学校の進路指導担当と連絡を取りながら、全日制高進学への可能性を探って下さい。不登校経験者の入学を積極的に受け入れている全日制高も増えつつあります。もちろん、中学不登校生が全日制高で再び不登校になる可能性は限りなくあると言わざるを得ませんが、私の相談室での事例で言えばその可能性が大きいわけではありません。昨年度の例で言えば、中三生の不登校相談のうち全日制高への進学は45%でしたが、そのうちの65%は全日制高への通学を続けています。
 もちろん、全日制高や通信制高などのオープンキャンパスに参加して並行しながら、親子でしっかり話し合いながら選択するのもいいでしょう。しかし、最後の選択は生徒自身が決めることです。

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