地元広報誌「うえまち」コラム連載中!もし、我が子が不登校になったら?

第29回

相談事例⑦ 「学校は何もしてくれない・・・」

 今では前後期制を採用している高校も多いようですが、いわゆる1学期が終わりすでに夏休みにはいっています。中学3年生で不登校になった和美さん(仮名)は、公立全日制高校受験を希望しましたが、3年生時に定期考査も受けることができす、内申書の内容が受験要件をクリアすることができなかったため、進路として通信制高校を選択し入学しました。
 新たな環境への期待もあって、なんとか通学できるのではないかと思っていましたが、入学式に出席しただけでその後は全く通学できず、夏休みを迎えることとなったのです。彼女が選んだのは、週2日程度の通学が必要なコースで、親御さんもその程度なら頑張って通ってくれるのではないかと期待も大きかったようです。学校からも何度か通学を促す連絡もありましたが、レポートの未提出、スクーリングの欠席と重なり、「このままでは単位取得は難しい」という連絡が最後に、その後の連絡はありません。
 学校側の連絡に問題があると言うつもりはありませんが、留年などの可能性の事務的な通告よりも、やはり「貴女が来てくれるのをみんな待っているよ!」というシグナルを学校は出し続けてほしいと思っています。なぜなら、学校からの連絡が途絶えると、不登校の生徒はやはり「自分は学校に見捨てられた」と感じてしまうのです。「もう連絡いただいても、うちの子は通学する気配がなく、かえってご迷惑をおかけすることになるので」と学校からの連絡を断られる親御さんもおられます。しかし、親御さんは学校からの連絡に、わが子が応えていないといううしろめたさで恐縮するのではなく、電話連絡やメール連絡、あるいは家庭訪問等を学校側に遠慮されず要望された方がベターなのです。要望されれば、学校は十分対応してくれるはずです。もちろん、それが登校刺激となって早々に復学するという短絡的な結果は望めるわけではありませんが、彼女の心の中に復学への小さな想いが宿ったとき、「学校が迎え続けてくれている」と感じられる事実が必要なのです。
 親御さんがご家庭で取り組まれることはたくさんあるでしょう。この連載でも何度も触れてきました。しかし、学校側も不登校問題に真摯に取り組まなければならない責務があります。「学校はあまり何もしてくれない」と嘆くのではなく、親御さんからの強いメッセージも必要なのです。

< NIWA教育相談室(大阪) >
TEL.06-6191-9007/FAX.06-6191-9005
〒543-0021 大阪市天王寺区東高津町9-23 ロロモチノキビル5F
Copyright© 2011 通信制高校生徒と心の問題を抱える先生のための教育相談室「NIWA教育相談室(大阪)」