地元広報誌「うえまち」コラム連載中!もし、我が子が不登校になったら?

第73回

相談事例(43) 「不登校なのにお小遣いを要求するわが子!」

 お母さんは高校1年生の淳也君(仮名)に毎月4,000円のお小遣いを渡していました。
 ところが淳也君は1学期の後半から休みがちになり、9月下旬にはついに不登校になってしまいました。お母さんは、不登校なので日常的にお金を使う機会もないことから、毎月のお小遣いを渡すのをやめて、淳也君が必要なものがあると時々要求してきたときに、その都度渡すようにしていました。しかし、淳也君は機会があるたびに毎月のお小遣いを復活させるべきと、強くお母さんに迫ってきています。不登校なのにお小遣いは渡すべきなのかどうか、お母さんは戸惑ってしまいます。
 まず、不登校を理由に小遣いと言うひとつの約束事を反故にするのはどうかという疑問が残ります。高額な要求であれば欲しいときに欲しいだけ渡すということはないでしょうが、不登校ゆえにお小遣い制をやめてしまうことは、「貴男が不登校だから」と不登校を受け入れず責めていることになります。毎月自由に使っていた小遣いが無くなり、その都度お母さんに要求することは、本人にとってはお金の使い道を細かく管理されている感がぬぐえず、不登校ゆえに仕方がないと自分を責め、やがてはあきらめ何も要求しなくなるということになるでしょう。
 しかし、もう一つの問題もあります。本人が要求するたびに渡すということは、言いかえればねだられたら渡すということです。これは一方では極端な浪費傾向が表れてくる危険性もあるのです。要求したお金がもらえなければ、暴力的な行動にでたり暴言を吐いたりしてお母さんを困らせ、なんとか要求を通そうとするでしょう。そして、お母さんもその暴力的な言動に耐え切れず、お金を渡してしまうという悪循環が日常化してしまうかもしれません。
 お小遣いの範囲内で消費する生活が前提としてあれば、範囲外の要求にはその都度話し合う必要が生じます。それが普通の親子関係のはずです。信也君のお母さんにはお小遣い制の復活をお願いしました。

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